ストレートに面白い。
わずか171ページの超短編作品であるが、盛り込まれている内容の密度の濃さに驚いてしまう。
あなたはいきなりホームレスになり、路上で生活することを考えたことがあるだろうか?
「ホームレス?ホームレスってさぁ、日本で一番贅沢な生き物じゃんー。私らの税金で飯食ってるようなもんでしょ?公園で水使い放題だし、マックいけば残り物食べれるじゃん。」
この本を半分と読まないうちにこれが大きな勘違いだと気付く。
路上でのダンボール・サバイバルがどれほど過酷なものか、きっと思い知らされるだろう。
作品の最後の終わり方も斬新だ。
ホームレスとなり無一文になった主人公の杏は
最後に焼却炉へとたどり着く。
なんと、杏はその焼却炉の中に自ら入ってしまう!!
(ゴミ焼却炉の中へ主人公を入らせた作品など今まであっただろうか?)
朝起きると巨大な芋虫に変身していたという、
有名なカフカの『変身』も僕にとってとても斬新であったが、
この作品も同程度、いや、それをはるかにしのぐ驚嘆をもたらした。
─燃やせるもんなら燃やしてみろよ。
文章の無限の可能性をまたひとつ学んだ気がした。
(recommended by
じゅん sama)