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タイトル
皆月
著者
花村萬月(はなむら まんげつ)
総合評価
★★★★☆
発行文庫/価格
講談社文庫/660円
あらすじ
諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。
十歳近い年齢差の夫婦、徳雄(のりお)と沙夜子。
いつも妻の気持ちを一番に考えて、酒もタバコもギャンブルも、
そして女も我慢してきた徳雄。

うまくいっているつもりだった。
しかしある日妻沙夜子は1000万円の貯金とともに行方を晦ましてしまう。

妻の残したメモにはただ一言。
─みんな月でした。

残された意味不明のメモに
「いつもおまえのために頑張ってきたのに!」という
憎しみと怒りとやるせなさで途方にくれる徳雄。

そんなみじめな彼に、いつも世話を焼くヤクザの義弟アキラは
ソープ嬢の由美をあてがい、徳雄はいつしか彼女を愛するようになっていく…

胸を打ち、魂を震わせる「再生」の物語。
吉川英治文学新人賞受賞作品。


「愚かでなければ、愛せない。愚かでなければ、愛する資格もない。
(それを)胸の裡にそっとしまっておくだけだ。」
極個人的感想
みなづき花村萬月さんの作品をはじめて読みました。
実に面白いw休むことなく最後まで読んでしまいました(>_<)

妻に逃げられた悲しい主人公がアウトローな一匹狼アキラと
負けん気たっぷりのソープ嬢由美との出会いにより
だんだんだんだん男らしくなって。
(もちろん、彼のよい部分は最初から最後まで変わらなくて。)

逞(たくま)しくなってゆく主人公の自我。
支える仲間達。

散りばめられた言葉一つ一つに
萬月さんのセンスの良さが感じられる、そんな一作品です(・_・)♪



追記:みんな月でした、、、
この言葉が実に印象的でした。

ちなみに今回の話の「月」には二つの意味があります。
一つは照らされることだけを誠実に望む、という意味での月。
(いわゆる太陽の反意語としての月です。)
もう一つは・・・(←小説の最後でわかります)

うーん。この先の人生で、僕は誰かの太陽になれるのかな。
もしくは太陽になれなくとも・・・
(いつかそんな日が来ることを切に願う)